成孝院 善佳寺

寺伝によると、境内には山門、鐘楼門、透門とあり、成孝院の三門といわれ有名であったそうですが、江戸時代後期の天保十四年（1843年）十二月六日夜半、火災に遭い建物は尽く灰燼に帰しました。その後、弘化二年（1845年）伽藍を再建しましたが山門、鐘楼門等は再建には至りませんでした。

　明治五年（1872年）の学制の公布によって、その翌年六月十一日には井土上村に四釜小学校（現 薄根小学校）が成孝院に設置され、地域における明治初期の近代教育発祥の地となっています。また太平洋戦争時には、軍隊の宿舎、施設部隊の宿舎にも提供されました。

　成考院の本尊仏は聖観音様で招福厄除けの仏さまとして人々の信仰を受けています。なお明治に廃寺となった大原寺・白岩堂の本尊像（観音菩薩）も合祀され、沼田板東三十三番霊場の二十七番目となっています。

　また、境内墓地には「真田大学信武の墓」があります。真田大学信武は、沼田藩四代藩主真田信政の三男で沼田に生まれ、江戸時代初期の正保二年（1645年）六月二十三日 兄真田又八郎信守（信政の二男、異母兄）によって城内で殺害され、兄信守も自刃しました。『沼田記』には「正保二年六月二十三日、夜裏門二階にて弟大学および佐久間善八を害し自害す」とあります。真田大学信武の法名は高源院殿一山普純大居士となります。真田信守の墓は同市内の舒林寺にあります。