ほうそうじんじゃ
山梨県上野原市上野原
この地に残る伝承と記録によりますと、江戸時代の初め、疱瘡神と縁のある越前国(福井県)湯尾峠生まれのあばた顔の老婆が、諸国遍歴の途中、この地で倒れ、村人の厚い看護に感謝して「この地を疫病から護る。疱..
この地に残る伝承と記録によりますと、江戸時代の初め、疱瘡神と縁のある越前国(福井県)湯尾峠生まれのあばた顔の老婆が、諸国遍歴の途中、この地で倒れ、村人の厚い看護に感謝して「この地を疫病から護る。疱瘡の神を祀れ」と言い残して亡くなりました。そこで村人は湯尾峠から疱瘡の神を勧請して、萬治四年(1661)三月、疱瘡神社を建立しました。 当寺、疱瘡(天然痘)は、伝染性が強く激烈で不思議な症状を示すため、人々は「これは鬼神の仕業である」と考えて恐れ、神に祈って免れようとしました。わが国には六世紀に仏教伝来とともに侵入し、大流行を繰り返して多数の死者を出し、長くかつ深く苦しめた疫病です。 そのため、人々の疱瘡神への崇敬は篤く、往時、疱瘡神社の三月と十二月の祭礼は参詣で賑わいましたが、種痘によって疱瘡が絶滅してからはそれも絶え、今日、地域の人々によって祭りが営まれ、神社の維持が図られています。 (疱瘡神社奉賛会)