増徳寺

後一条天皇の治世（1016年 - 1036年）に定朝法橋によって作られたという伝承のある延命地蔵菩薩（現在の本尊）が、かつて徳山の山奥にあった真言道場（のちの増徳寺、天台宗とも）に伝わってきた。
徳山を領した徳山氏の家系図に、「徳山七良二郎頼長（改貞長、徳山家2代）が永享10年5月15日（1438年）濃州赤坂合戦において討死したのは高名なり。法名は寅岩高秀で濃州徳山増徳寺に眠る」という記述がある。足利義教が将軍であったこの頃に「増徳寺」という寺院があったということが明らかで、頼長がこの寺を菩提寺としていたと考えられる。
戦国期の徳山氏当主・則秀は、かつて賤ヶ岳の戦いの際に柴田勝家方について敗走し洞寿院（現・長浜市余呉町）へ逃れた縁から、洞寿院の松巌梵梁師を招いて開山（中興）とし、曹洞宗に改めさせた。則秀は慶長11年11月21日に62歳で没すると、増徳寺に埋葬された。
昭和22年、29年には徳山村本郷地区で起きた大火災（本郷大火）によって類焼し、寺は全焼した。この2回の火災で寺の縁起となる書物や什物は焼失したが、24世・梅庵亮魁和尚により本尊と開山像は救い出された。亮魁和尚が没すると、滋賀県伊香郡余呉町の源昌寺・浅井盛正住職が兼務した。
昭和62年、徳山ダムが建設されることになり、揖斐郡徳山より本巣郡本巣町文殊の現在地に移転した。翌年5月15日に落慶法要が勤修された。
毎年6月24日に行われる『地蔵盆』では、秘仏の開帳及び法要が行われている。