薬王院 (薬師堂)信法寺別院

薬王院は、薬師堂とも言い、今の場所より北東に200mほど離れた桜山（大和南高校の南側）にあったと伝えられています。鎌倉時代の武将でこの地域を領地としていたといわれる、和田義盛が目の病気になったとき、病気が治るようにと七日間、薬師如来に祈ったところ、全快しました。また、鎌倉幕府の侍所別当（長官）になれるよう祈願したところ、成就しました。そのお礼に桜山にお堂を新しく建てたそうです。それから月日がたった江戸時代、上和田村領主となった石川氏の奥方が眼の病気となったとき、この和田義盛の話にならって薬師如来に七日間祈ったところ、同じように回復したそうです。その時にお礼として現在の場所にお堂を再建したと伝えられています。
毎年9月7日と8日は、薬師如来の縁日が行われています。特に12年に一度の寅年には秘仏の薬師如来像の本開帳（申年は半開帳）、特に盛大に行われます。また、縁日には眼の病気に良いとされる縁起物の「薬師生姜」を買い求める人が大勢いるとのこと。信法寺の記録によれば、江戸時代には旧暦の8月12日から9月12日までの1ヶ月間をご開帳として行われていました。
この縁日の行われる「双盤念仏」とは、一つの太鼓と４つの鉦の音に合わせ、歌うように「ナムアミダブツ」と唱える「引声（いんぜい）念仏」の一種で、鎌倉の浄土宗大本山光明寺から伝わったとされます。このような伝統を守るため、地元の方が「双盤念仏保存会」を結成し、昭和53年（1978年）には大和市指定重要無形民俗文化財に指定されました。