法音寺は浄土宗鎮西派の寺院で、縁起によると奈良時代の天平4年(732)、行基によって創建されたと伝わります。
当初は、現在地よりも北側の古御堂と呼ばれる場所にあり、往時は七堂伽藍の大きな寺院であったとされますが、その後衰退し、康正3年(1457)に再興され、現在地に本堂が再建されたと言われています。
法音寺には、国指定重要文化財の本堂や本尊の阿弥陀如来坐像、十一面観音立像をはじめ、数多くの寺宝が伝来しており、十一面観音立像や伝釈迦如来坐像は平安時代前期のもので、有田川中・上流域では最古級のものです。
茅葺きの本堂は、建築様式や技法からも室町時代中期頃の建立と考えられています。
有田川町粟生の吉祥寺薬師堂とは、建築時期や建物の特徴が近似しており、これら2棟のお堂が相次いで建立されたことが推定されます。