観音禅寺

牟禮山観音禅寺（竜王観音）は、推古天皇九年(601)、聖徳太子28歳の折、一刀三礼にて彫られた十一面観世音菩薩を本尊とし、仁寿三年（853）牟禮山法満寺五別院の一として創立される。法満寺は大宝元年(701)、金蕭大菩薩の開基、天平十七年(745)、東大寺開山良辯僧正(689-773)により伽藍が建立された。寛治六年(1092)、堀河帝より官載伽藍を賜り、法満寺五別院を再建。天正年間(1573-1592)、法満寺は兵火により全焼するも、当山の觀音像のみ厳然として残る。
寛文二年(1662)、列岑鈞禅師(?-1702)、牟禮山観音寺を再建し、現在の地に移す。元禄年間、西鮮禅東禅師(?-1714)が新たに法脈を立てて開創。明治九年(1876)当山第六世臨山惠温禅師遷化して法脈絶えるも俊道志英禅師、次いで清嶽文冷禅師が歴住。その後、久しく無住となるが、大正七年(1918)瑞岳玉道尼が住し、諸堂の修復に尽力して、今に至る。
本尊十一面観音は秘仏であり、60年に一度の御開帳（30年に一度半開帳）。
境内からの眺めが美しく、蒲生野が一望できる。その向こうには東の竜王山といわれる雪野山、さらに鈴鹿山脈が見渡せ、太郎坊や霊仙山も見える。眼下には大きな池が広がり、その池を松並木の観音禅寺参道が貫き、世俗の塵を絶す。春には向こう岸に桜の花が霞に舞い、夏には脇の池に蓮の花が咲き誇る。そよ風に揺れる蓮の花をとおして臨む観音禅寺の姿は、はるか南海に浮かぶ観音の浄土、補陀落山を想起させる。
観音禅寺には、古くから観音霊籖（みくじ占い）の秘法が伝わっている。住職と面談の上、住職が読経の後に自らみくじを引いて卜占し、その結果を解説するという方法。また、家相・命名などの相談、祈祷や厄除け・厄払い、そのほか出張で土地家屋のお祓いや祈祷を行っている。人形や気になる写真の供養・お祓いは、直接依頼してもよいし、郵送でも受け付ける。ペット連れのお参りも可。ペットの供養や健康祈願も行っている。七五三や宮参りに訪れる人も多い。坐禅もできる。申し込めば、本格的な仏教瞑想の実修および講義、専門的な仏教の教義や文献読解の講義も可能。