阿富貴山 圓満寺

　正式には天台宗本山別格阿富貴山安禅院圓満寺と号し、天台宗山門派延暦寺末、本山別格の寺院です。 安禅院は元々、比叡山延暦寺の一坊で、東塔北谷に位置していました。
　寺院明細帳によると、安禅院は延暦13年9月の創建で、創建当初は大教院と称していました。 延喜元年、宇多法皇の比叡山御行幸の際には御座所にあてられたそうです。
　天暦元年、大教院は火災により焼失し、再建後に寶塔院と改称します。 次いで康和3年に再び焼失の憂き目に遭い、永禄11年に再建されますが、この時より永禄院と改称します。
　元亀2年9月、織田信長の焼き討ちによって比叡山が全山焼失した際、永禄院も類焼。 その後、天正13年、天台座主心盛上人が尊朝親王の旨を奉じて再建し、現在の名跡である安禅院を称するようになりました。 しかし、またしても明治37年に焼失してしまい、その後はなかなか再建には至りませんでした。
　ところで、大正12年の関東大震災後、現在地の横浜市久保町では、慰霊の為に観音堂が建立されることとなったのですが、その際、しばらく使われていなかった安禅院の名籍を移すことが企画され、昭和3年9月20日に移転しました。 移転後の中興一世は西郊豪顕です。
　昭和48年に本堂建立、その後山門が整備され、昭和58年には阿弥陀堂を円満寺霊殿として建て替え。 平成2年5月には新本堂が落慶、平成26年の年末には書院・庫裡・納骨堂が落成され現在に至ります。